【2026年8月判決】退職代行モームリ元社長に有罪。何が違法だったのか、業者選びで確認すべきこと

2026年8月28日、東京地裁で判決が言い渡されました。

退職代行「モームリ」の運営会社アルバトロス前社長・谷本慎二被告(37)に懲役2年、執行猶予3年。妻で元同社幹部の志織被告(32)に懲役1年6月、執行猶予3年。法人としての同社には罰金200万円。いずれも求刑通りの判決です。

業界トップクラスの実績を持つサービスの経営者が、有罪判決を受けた。この事実は、退職代行の利用を検討している方に大きな不安を与えたはずです。

「退職代行そのものが違法なのか」「今から使おうとしている業者は大丈夫なのか」「モームリは使えるのか」

結論から申し上げます。

退職代行というサービス自体が違法になったわけではありません。問題は「モームリのビジネスモデルの一部」にありました。

この記事では、判決内容と何が違法とされたのかを事実に基づいて整理し、そのうえで利用者が業者を選ぶ際に確認すべき具体的なポイントをお伝えします。

限界を感じて退職代行を探している方が、この報道で選択肢を失わないために。正確な情報をお届けします。

この記事を書いた人
EXITマン
限界脱出の案内人

EXITマン

サバイバル歴 就職氷河期世代
キャリア 転職経験複数
退職歴のリアル 最短離職3ヶ月
現在の専門領域 限界からの脱出

就職氷河期の真っ只中に社会に放り出され、ブラック企業での搾取、最短3ヶ月での短期離職、キャリアの断絶など、あらゆる地獄を経験しながら生き残ったサバイバー。 「石の上にも三年」「逃げるのは甘え」は、労働者を使い潰したい側の嘘だ。どん底から這い上がった俺の実体験に基づき、綺麗事抜きの「安全に逃げて、次を勝ち取る」ための脱獄の設計図をここに残す。

目次

第1章:判決の内容|何が認定されたのか

1-1. 判決の骨子

対象 判決 求刑
前社長・谷本慎二被告(37) 懲役2年・執行猶予3年 懲役2年
元幹部・谷本志織被告(32) 懲役1年6月・執行猶予3年 懲役1年6月
法人(株式会社アルバトロス) 罰金200万円 罰金200万円

罪名は弁護士法違反(周旋)、および違法な紹介料を別名目に偽装したとする組織犯罪処罰法違反です。

EXITマン

両被告とも起訴内容を認めていました。

1-2. 認定された事実

報道によれば、認定された内容は次の通りです。

起訴状の内容

・期間:2023年6月〜2025年2月

・弁護士資格がないまま、174人の退職希望者を弁護士2人に有償であっせん

・紹介料は1人あたり1万6500円

・受け取った総額は約280万円

出典:毎日新聞「退職代行『モームリ』前社長と妻に有罪判決 弁護士に違法仲介」(2026年8月28日)

検察側はこれを「組織的で常習的だ」と批判しました。

1-3. 裁判長が指摘したこと

判決で林欣寛裁判長は、次のように述べています。

あっせんした依頼者は計174人に上ったとして「弁護士制度の公正円滑な維持運営に影響を与えかねない大規模かつ職業的な犯行」と指摘。

リスクを認識しながら売り上げを伸ばすために紹介料を得たとして「利益を優先するあまり、法令順守を軽視した」と非難した。

出典:共同通信(2026年8月28日配信)

注目すべきは「リスクを認識しながら」という部分です。違法性を知らなかったのではなく、認識したうえで利益を優先したと認定されています。

なお、弁護側は紹介料を全額返還したこと、谷本被告が社長を辞任するなど社会的制裁を受けていることを主張。谷本被告自身も最終意見陳述で「注目度の高い業界で罪を犯し、申し訳ございません」と謝罪していました。

1-4. 紹介を受けた弁護士も起訴されています

見落とされがちですが、あっせんを受けた弁護士2人も起訴されています。

  • 梶田潤被告(45):一審で有罪判決を受け、控訴中
  • 佐藤秀樹被告(49):一審公判中

つまりこの事件は、業者側と弁護士側の双方が問われた「非弁提携」の事案です。

第2章:何が違法だったのか|弁護士法72条と27条

2-1. 退職代行そのものは違法ではありません

まず、最も重要な点を確認します。

退職代行というサービス自体が違法になったわけではありません。

本人に代わって「退職の意思を伝える」という行為は、法律上の「使者」にあたり、原則として問題ありません。多くの業者が現在も適法に営業しています。

EXITマン

問題になったのは、その先にある「交渉」の扱い方でした。

2-2. 弁護士法72条:非弁行為の禁止

退職代行を理解するうえで避けて通れないのが、この条文です。

法律引用

弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

弁護士または弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱い、またはこれらの周旋をすることを業とすることができない

出典:e-Gov法令検索「弁護士法」(要旨)

条文には「法律事務を取り扱い」だけでなく、「周旋(あっせん)をすることを業とする」ことも禁止と明記されています。

今回の事件で問われた「周旋」は、まさにここです。

2-3. なぜ「弁護士に紹介する」ことが罪になるのか

一見すると、「自分たちで交渉せず、有資格者である弁護士に任せた」のは適切な対応に思えます。

しかし問題は、その紹介で報酬を得ていたことです。

事件の構造

① 会社との交渉が必要な依頼者が来る

② 民間業者であるモームリは交渉できない(非弁行為になるため)

③ そこで提携先の弁護士に依頼者を紹介した

紹介の見返りに1人1万6500円を受け取った

⑤ さらにその紹介料を別の名目に偽装した(組織犯罪処罰法違反)

弁護士法は、非弁護士が事件を有償で紹介すること(72条)と、弁護士がそうした紹介を受けること(27条)の双方を禁じています。

理由は、依頼者の利益より紹介料の多寡で弁護士が選ばれる構造を防ぐためです。誰に依頼するかが金銭で歪められれば、最終的に不利益を被るのは依頼者だからです。

依頼者を守るための規定が、依頼者を集めるために破られた。これが判決で「法令順守を軽視した」と非難された理由です。

第3章:業者の3類型|どこまでできるかは資格で決まる

事件の構造を理解すると、退職代行を選ぶ基準が明確になります。

3-1. 3つの類型と対応範囲

対応内容 民間業者 労働組合 弁護士
退職の意思を伝える
有給消化・退職日の交渉 ○(団体交渉権)
未払い残業代の請求
損害賠償請求への対応
訴訟対応

労働組合が交渉できるのは、憲法28条・労働組合法により団体交渉権が保障されているためです。これは弁護士資格とは別の法的根拠に基づくもので、非弁行為にはあたりません。

3-2. モームリはどの類型だったのか

報道によれば、モームリは労働組合との提携を持たない民間業者でした。

そのため交渉ができず、交渉を希望する利用者を弁護士に紹介する形をとった。その紹介で報酬を得たことが違法と判断された——これが事件の全体像です。

もし労働組合が運営・提携する形をとっていれば、交渉は自社で完結でき、この事件は起きなかった可能性があります。

3-3. あなたに必要なのはどの類型か

自分の状況を整理してください。

状況別・選ぶべき類型

とにかく明日から行きたくない(交渉不要)
→ 民間業者でも対応可能。ただし引き止めが強い会社なら労働組合系が安全

有給を消化してから辞めたい
→ 労働組合が運営・提携する業者を選ぶ

未払い残業代がある/損害賠償を示唆された
→ 弁護士法人一択

第4章:判決から導かれる「業者選びの5条件」

事件を教訓に、依頼前に確認すべき点を整理します。

4-1. 交渉の法的根拠を明示できるか

最も重要な質問はこれです。

「有給消化の交渉はできますか?その法的根拠は何ですか?」

この問いに、以下のように答えられる業者は信頼できます。

  • 「当社は労働組合が運営しており、団体交渉権に基づいて交渉します」
  • 「当社は弁護士法人です」
  • 「当社は民間業者のため交渉はできません。交渉が必要な場合は弁護士をご紹介します(無償)」

逆に危険なのは、「大丈夫です、なんとかします」と曖昧に答える業者です。対応範囲を正確に説明できないこと自体が、コンプライアンス意識の低さを示しています。

4-2. 運営主体が明示されているか

公式サイトで以下を確認してください。

  • 運営会社名・所在地・代表者名
  • 労働組合名(提携している場合、組合の名称と連絡先)
  • 弁護士法人の場合は所属弁護士会・登録番号
EXITマン

情報が曖昧な業者は避けてください。

4-3. 料金体系が明朗か

  • 総額が明示されているか
  • 追加料金が発生する条件が書かれているか
  • 「弁護士紹介料」など不透明な名目がないか

今回の事件は、まさに紹介料を別名目に偽装したことが組織犯罪処罰法違反に問われています。名目が不明瞭な料金項目には注意が必要です。

4-4. 返金保証の条件が具体的か

「退職できなければ全額返金」と書かれていても、適用条件が具体的でなければ意味がありません。

無料相談の際に「どのような場合に返金対象外になりますか」と質問してください。明確に答えられるかどうかが判断材料になります。

4-5. 相談時の対応が誠実か

これは実際に相談してみなければ分かりません。

  • 返信の速さ
  • 説明の具体性
  • できないことを「できない」と言うか
EXITマン

依頼前に必ず一度、無料相談をしてください。そこで感じた違和感は、たいてい正しいものです。

第5章:今からモームリを使おうとしている方へ

5-1. サービスは再開しています

モームリは事件を受けて一度サービスを停止しましたが、経営体制を改めて2026年4月から再開しています。

新代表には浜田優花氏が就任し、「関係法令を踏まえた業務運営に努める」としています。外部専門家の助言を得て法令順守を徹底する方針も示されています。

5-2. 判断は利用者に委ねられます

再開後の体制で適法に運営されているのであれば、利用すること自体に法的な問題はありません。

EXITマン

ただし、判断材料として以下は把握しておくべきです。

  • 前経営陣が有罪判決を受けた事実(執行猶予付き)
  • 法人としても罰金200万円の有罪判決を受けている事実
  • 紹介を受けた弁護士2人も起訴されている事実

そのうえで、第4章の5条件を新体制のモームリに当てはめて確認してください。特に「交渉の法的根拠」については、再開後の体制がどうなっているかを直接質問することを推奨します。

5-3. 不安が残るなら、他の選択肢もあります

「事件があった会社は避けたい」と感じるのは自然なことです。人生の重要な局面を託す相手ですから、納得できない状態で依頼すべきではありません。

EXIT-NOTEでは、他の退職代行サービスについても運営会社への取材を含めて検証しています。

第6章:状況別・今すぐ選ぶべきサービス

6-1. 交渉が必要なら労働組合系

有給消化や退職日の調整が必要な場合、団体交渉権を持つ労働組合が運営・提携するサービスを選んでください。

民間業者では法的に交渉ができず、今回のような構造的な問題が生じる余地があります。

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6-2. 金銭トラブルがあるなら弁護士法人

未払い残業代がある、損害賠償を示唆された、すでに揉めている——こうした場合は、最初から弁護士法人に依頼するのが確実です。

労働組合でも対応できない領域があり、後から切り替えると費用が二重にかかります。

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FAQ

判決を受けての疑問に回答

モームリ判決・FAQ

Q. 退職代行を使うこと自体が違法になったのですか?

A. なっていません。本人に代わって退職の意思を伝える行為自体は適法です。今回問題となったのは、弁護士資格がないまま依頼者を弁護士に有償であっせんした点であり、サービス全体が違法とされたわけではありません。

Q. なぜ弁護士に紹介することが罪になるのですか?

A. 弁護士法72条は、非弁護士が報酬目的で法律事件の「周旋(あっせん)」を業とすることを禁じています。今回は1人あたり1万6500円、総額約280万円の紹介料を受け取っていたことが問題とされました。依頼者の利益より紹介料で弁護士が選ばれる構造を防ぐための規定です。

Q. モームリは今も利用できますか?

A. 2026年4月から経営体制を改めてサービスを再開しています。利用の可否は各自の判断になりますが、依頼前に「交渉の法的根拠」「料金の内訳」を直接確認することを推奨します。

Q. 安全な業者はどう見分ければいいですか?

A. 最も有効な質問は「有給消化の交渉はできますか?その法的根拠は何ですか」です。労働組合の団体交渉権、または弁護士資格という根拠を明示できる業者は信頼できます。「なんとかします」と曖昧に答える業者は避けてください。

Q. 民間業者は使ってはいけないのですか?

A. そうではありません。交渉が不要で「意思を伝えるだけ」であれば、民間業者でも対応できます。ただし有給消化の交渉が必要なら労働組合系、金銭トラブルがあるなら弁護士法人を選ぶべきです。自分に必要な対応範囲で選んでください。

Q. 労働組合はなぜ交渉できるのですか?

A. 憲法28条および労働組合法により、労働組合には団体交渉権が保障されているためです。これは弁護士資格とは別の法的根拠であり、非弁行為にはあたりません。

Q. すでにモームリに依頼していた場合、退職は無効になりますか?

A. 今回の判決は業者側の行為を問うものであり、成立した退職の効力を直接左右するものではありません。退職の意思表示は民法627条に基づくものであり、伝達手段が業者であっても意思表示自体は有効に成立します。個別の事情で不安がある場合は弁護士にご相談ください。

まとめ:制度を知れば、選択肢は残っている

2026年8月28日の判決は、退職代行業界にとって大きな節目となりました。

しかし、この事件から読み取るべきは「退職代行は危ない」という結論ではありません。

「どこまでできるかは、業者の資格で決まる」という当たり前の原則です。

依頼前に確認する5つのこと

☑ 交渉の法的根拠を明示できるか(労働組合/弁護士)

☑ 運営会社・提携先の情報が公開されているか

☑ 料金の総額と追加条件が明朗か

☑ 返金保証の適用条件が具体的か

☑ 相談時に「できないこと」を正直に言うか

そして最後にお伝えしたいことがあります。

この報道を見て「やっぱり自分で言うしかないのか」と諦めないでください。

あなたが会社を辞める権利は、民法627条によって保障されています。意思表示から2週間で雇用契約は終了し、会社の許可は必要ありません。

適法な業者を選べば、その権利を安全に行使できます。制度を正しく理解して、次の一歩を踏み出してください。

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参考情報

  • 毎日新聞「退職代行『モームリ』前社長と妻に有罪判決 弁護士に違法仲介」(2026年8月28日)
  • 共同通信「モームリ前社長に執行猶予判決」(2026年8月28日)
  • NHKニュース「退職代行『モームリ』運営会社 元社長らに有罪判決 東京地裁」(2026年8月28日)
  • 東京新聞「『退職代行モームリ』元社長が公判で明かした『安易な気持ち』」(2026年8月23日)
  • e-Gov法令検索「弁護士法」「民法」

※判決内容および各社の対応は、今後変更・進展する可能性があります。最新情報は各報道機関および各サービスの公式サイトでご確認ください。

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